罪とか罰とか、過ちとか戒めとか。
今でも僕には、何が正しくて何が間違っているのかなんて大それたことも、償いの価値も真意も、判らない。
判ったところで、きっと、何も、変わらない。
それでも容赦なく、血は巡るから。今も僕の体の中で脈々と、無責任なまでに淡々と。
少なくとも僕にとっては、抗うことなんて出来なかった流れ。抗おうと思うことすらできなかった、流れ。
なのに彼女はあの華奢な足で、踏みとどまって、もがいて、それでも笑っていた。
だから、輝いて見えた。
揺ぎない現実を求めていたはずの僕のファインダーなんて、彼女と比べれば所詮、仰々しい理想だとか信念だとかいう名の、人の虚勢ばかりを捕らえていたのだと、思い知らされた。
彼女は、そんな僕にも微笑んでくれた。
少し僕を卑下した、少し皮肉気味の、少し哀れむような目を、携えてはいたけれど。
2年前。
彼女のいた、春とも夏ともつかない曖昧な季節の日々は、今も僕の記憶の中で、宙を舞う羽根のようにふわふわと彷徨って、消えてしまいそうで、消えない。
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